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No.022  2012.12.25

新たな個性が生まれる修復法‘金継ぎ’

日本には古来から受け継がれる、壊れた陶磁器を漆で直す'金継ぎ'という修復法があります。接着剤や化学パテなどを使用せず、全て自然からとれるもので修復するので、身体に安全である点が大きな特徴の1つ。また、継がれた部分の金粉や銀粉によって、器に今までとは違った個性が生まれる点が'金継ぎ'の最大の魅力と言えるでしょう。

私たちが海外から買い付けて来た陶磁器たち。大事に一点一点梱包したつもりでも、長い輸送の間に割れてしまったり、欠けてしまったものがいくつかあります。 苦労して手に入れただけあり、そのまま捨てるのは勿体ない。でも、割れたまま持っているわけにもいかず、どうしたものかと悩んでいた時に、前述した'金継ぎ'のことを思い出しました。
この技法を洋食器に用いても面白いのではないかと思い、早速親しくさせて頂いている金継職人さんに相談をしてみることに。 その結果、職人さんのご好意により、洋食器と和の修復法'金継ぎ'のコラボレーションが実現しました。
手間と時間をかけて、見事に再生した5点。
どれも、私たちが海外で手にした時とは全く違う印象のものとなりました。

『愛する器を少しでも長く使い続けたい』
日本の伝統である'金継ぎ'はそんな願いを可能にします。

『一人でも多くの方に、モノを大切にし愛着をもって使い続けて頂きたい』
この特集には私たちのそんな想いが詰まっています。


《金継の手順》


1.破損

破損してしまった陶磁器


2.接着
a)接着用の漆を作る。接着用の漆には小麦粉を練ってつくる麦漆と膠を混ぜてつくる膠漆、糊漆などがある。

b)接着用の漆を接着面に塗る。多く塗りすぎると、接着する際に溢れ出し硬化もしづらいので、薄く均一に広げる。漆が固まるまでには時間がかかるので、失敗した時はやり直しも可能。

c)漆は液中に含まれる酵素が働くことによって固まるので、酵素がよく働く環境(温度25℃前後・湿度75%前後)の漆室に入れて、マスキングテープで止め、破片がつながるまで乾燥させる。漆室は、大きめの段ボールや木箱を使用し、内側を濡れ雑巾などで拭けば完成漆の乾燥は、種類にもよるが約1週間程度かかる。


3.成形
a)つながった後、麦漆に麻粉と木粉を加えて練った‘こくそ’と呼ばれる充填材で継ぎ目の穴や欠けを埋めて行く。‘こくそ’は3回程度に分けて埋め、加える木粉は目の粗いものから始め、次第に目の細かいものに換えて行く。傷の浅いものなどは細かいもので1度埋めれば十分な場合もある。‘こくそ’もその度に乾燥をさせる。

b)切粉(きりこ)、錆と順に付けて肌を緻密にする。 切粉は錆の材料に珪藻土を加えたもの。 錆は水練りした砥の粉(とのこ)に生正味漆を加えたもの。それぞれ、塗った後は乾燥させ、研いでから次の工程へ進む。


4.漆塗り

a)呂瀬漆で下塗りを施す。

b)塗った後は乾燥させ、完全に乾いたら朴炭やサンドペーパーなどで形を整える。この工程までくれば、漆の乾燥は約1〜2日程度。(まだ凹みなどがある場合は、追い錆で充填する。)

c)呂色漆で中塗りを施す。研磨傷をカバーするためにゆっくり塗り、乾燥させ、研ぐ。



5.粉蒔き

a)「下付け」金色の発色を良くするため、弁柄色入り絵漆を塗る。

※銀の場合は呂瀬漆を用いる。

b)「粉蒔き」半乾きの内に金を蒔く。

※ 金粉にも丸粉、平たく細かい平極粉、金箔から作る消粉などの種類があり、仕上がりに応じて使い分ける。

c)「粉固め」生正味漆を片脳油などの揮発性の油で希釈し、混ぜ合わせ、それをコットンなどに染み込ませて、金を蒔いたところに叩き込む。金の粉は球状なので、ほんの一部しか金と漆が付いていない状態のため、磨いても剥がれ落ちないように無色の漆を上からかけ密着させ、金を固める。


6.仕上げ

金粉は表面を磨き平にすることによって輝きを放つようになる。
金よりも硬いものでこすれば良い。植物性油を磨きたい部分に少量付け、ろ色磨き粉を指先に付けて軽くこするように磨く。最後に皮や布などで粉を拭き取ったら完成。



7.掃除

漆は固まってしまうと取れなくなってしまうので、使った後定盤・ヘラなどに付いた漆は拭き取り、蒔絵筆は植物性油を付け漆を取り油をつけたまま保管する。




※道具

上段左より
彫刻刀・筆洗い棒・竹べら・檜べら・筆(赤軸)・筆(黄軸)・定盤
中段左より 研ぎ用皮
下段左より
朴炭・絵漆(金粉を接着させやすくするために塗る漆)・呂瀬漆(下塗りに使う)・呂色漆(中塗りに使う)・金粉各種(出したい色によって使い分ける。金→青金粉・水色金 銀→プラチナ・金泥など)

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